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田島は不安そうに顔をしかめたが、校長におされ校長室をあとにした。
田島は何か不吉なものを感じとっていた。嫌な予感を。
その頃、三年C組の教室では都市伝説の話題で女子達が騒いでいた。
この年頃の女子と言うものは都市伝説というものに目がなく、情報を入手すればすぐさまその話題で語り合う。中には自作ネタもあるようだ。
女子の輪で話しているのが、この学校のマドンナ的存在、桜木織音(さくらぎおとね)。
「それで、私が聞いた都市伝説で『鬼姫』って言うのがあるの」
織音は低い声でおどろおどろしく言った。
それを聞いた天坂理菜(あまさかりな)は、驚いた表情で訊く。
「鬼姫?なんか怖そうね……」
理菜の言葉を聞いた織音は深く頷き、顔を強張らせて言う。
「うん。鬼姫って言うのは、鬼の頂点に立つ鬼のお姫様。その姿は凄く綺麗で、惚れない人は居ないんだって。でも、ある日鬼姫はたった一人愛していた人間に裏切られて、悲しみに暮れ、憎しみに目覚め、鬼を使って人間を滅ぼした……」
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