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担任が入ってきた。国語教師の逢坂信次(あいさかしんじ)。まだ二十代で、甘いマスクのその顔で生徒からは大変人気である。
信次が入ってきたのと同時に、咲と織音が信次の向かう教卓に駆け寄った。
「せ・ん・せー!おはようございます!」
信次は困った様に微笑んで応えた。
「あ、ああおはよう。ほら、もうすぐ朝礼始まるから席に着きなさい」
「はーい」
織音と咲が自分の席に戻ると、信次が連絡や今日の授業予定などの確認を始めた。
その間、富山亜理砂(とやまありさ)はじっと織音と咲を睨み付けていた。
亜理砂は金持ちのお嬢様で、かなり大きい屋敷に住んでいる。
亜理砂は隣にいる矢島咲也子(やじまさやこ)に視線を移すと、小さい声で話始めた。
「……何あの二人、逢坂先生に媚び売ってんのかしら。そう思わない咲也子?」
すると咲也子は強く頷いて答えた。
「分かる。特に織音さん、気に入らないのよね。自分が可愛いの分かってて媚び売ってるって感じで」
「それは私も思うわ。ホント気にくわない」
亜理砂は鼻で笑い、織音を睨んだ。
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