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「ちっ!」
孝地が振り返ると既に亜華羽は銃を構えている。
銃口の方向は孝地の如意棒を持つ右肩。
亜華羽のトリガーにかかる指に力が入ったのを察した瞬間に、孝地は右肩を後ろにし体をねじるように発砲された銃弾をかわす。
「ぐっ!?」
その刹那に、孝地の拘束から解かれた背後にいた魅子慈に発砲されてしまう。
しかし、間一髪右足をかすった程度。
だが、しっかり印は付いている。
孝地は咄嗟に後ろに跳び、すぐに濃霧へ隠れた。
「(流石は双子……コンビネーションが半端ねぇな)」
如意棒を構えながら素直に姉妹の力に感心していた。
しかし、所詮はやはり小学生。
既に孝地は勝利の確信を持っていた。
元々、多勢に無勢という状況か実力差が離れていなければ、孝地にはある策があった。
その策は自身の属性を使った、時間が来れば至極単純で無難な勝ち方。
要はただその時が来るまで敵の攻撃を耐えれば勝利は確実……そういう策だ。
そんな時に、姉妹揃ったステレオで濃霧の奥から声が聞こえてきた。
「あーあ、もうお兄さんの負けだね。二カ所以上体に印が付いたらもう勝利は確実。大人しく降参する?」
勝ち誇ったような声が聞こえてきた。
しかし、それは孝地も同じだ。
「それはこっちの台詞だ。降参しないと手遅れになるぜ?」
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