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と、強気で言ってみたはいいが孝地の頭の中は一瞬で不安に飲まれる。
自分の策と姉妹の策、向こうが上手ならやられてしまう。
やはり、自分に自信が持てなくなったのは孝地のデメリットと化している。
「ふーん……ま、言ってれば? じゃあ、私達の必殺技を見せてあげる」
「(必殺技!?)」
孝地の中で膨れ上がる不安をよそに姉妹は告げた。
「《追跡弾(トレイサー・バレット)》」
当たらない筈だ。
この一寸先は真っ白という濃霧の中で正確に孝地を狙うことなど不可能だ。
そう思った刹那に、耳に響く発砲音!
「ぐ!? あああ!!」
右足に当たる!
しかも、蝶のマークのど真ん中だ!
「ちっくしょう!! そうか……そういう使い方もあるのか!」
孝地はしゃがみ込み激痛走る右足を抑える。
血はどんどんズボンを染めていき、同時に冷や汗が溢れ出す。
「印に飛ばせるのは人間だけじゃなくて、銃弾もだよ」
濃霧の中から聞こえる姉妹の声。
つまり、孝地の右足の印を目指し銃弾が飛んできたのだ。
「後もう一つの印は確か……こめかみだったよね?」
再び勝ち誇ったような声が聞こえてきた!
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