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何処に銃弾を飛ばそうが印を辿り、正確に狙ってくる。
追跡する銃弾程怖いものはない。
「さぁどうする? 次は必然的にこめかみだよ? つまり死ぬんだよ? 降参した方が身のためなんだけどなぁ」
「へ、馬鹿言うな。降参なんか間違ってもしねぇよ」
「あはは! 随分と強気だね、弱いクセに」
姉妹の言葉に孝地の眉がピクリと動く。
「俺が弱い……?」
「だってそうじゃん。 弱いから斎藤お兄さん達と一緒に戦わないんだよね? 足手まといって分かってるんでしょ?」
姉妹に図星を突かれる。
それは孝地自身が一番分かっている。
自分自身を責める程、泣きたくなる程分かっている。
煉達はきっと孝地のことを弱いとは思っていない。
けれど、孝地にとっては煉達は既に遥か高みにいる。
一緒に戦いたい。
隣で戦いたい。
役に立ちたい。
自分を導いてくれた恩を報いたい。
何度も……何度も何度も何度もそう願ってきた。
「そんなのはなぁ……俺が一番分かってんだよ」
孝地は弱々しくそう言った。
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