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俯く孝地。
覇気の無い言葉が返ってきた姉妹は笑っている。
「あはは! やっぱり図星?」
「ああ、図星だよ。けどなぁ……弱い奴には弱い奴なりの戦い方があんだよ」
孝地はそう言って覚悟を秘めた目をし、顔を上げた。
「実際に一緒に戦うことが、隣にいることが叶わないなら、俺はせめて心だけでも一緒に戦う。そう決めたんだ。あいつらの心に俺が刻まれるような戦い方をしてやる。俺は必要不可欠な存在なんだと……仲間を想う強さがありゃ俺は十分なんだよ」
「全く意味が分かんないよ?」
「お前らに分かってたまるか。仲間が分かってくれりゃいいんだからよ」
「ふーん……ま、頑張れば? もう死んじゃうけどね」
孝地は悔やんでいた。
自分の馬鹿さ加減に。
姉妹が言った「次は必然的にこめかみ」という言葉で気づいたのだ。
必然的にこめかみを狙うのは、右足のマークが銃弾による傷によりもう意味は成さないから。
そう、このマークは多少の傷や上塗りで効力が無くなるのだ。
孝地はポケットから忘れていた油性の黒マジックを取り出す。
「(水性にしときゃよかったな)」
そう思いながらこめかみに刻まれた蝶のマークにバツ印を書く。
これで印は効力を失った筈だ。
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