◆ほんの一時の休息◆

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それぞれが意志を固め、明日に備え寝静まった頃。 煉は不安や緊張で眠れずに教会の外に出て、壁に寄りかかって座り綺麗な星空を眺めていた。 沙助とルイは煉に与えられた自室で寝ている。 「綺麗な景色だ……」 煉は目の前の住宅街を眺めながらそう呟く。 まるで、この世界には自分一人しかいないと思わせる程の静けさと、家の灯りが消え微弱な街灯と月明かりに照らされた風景には不思議と魅力を感じた煉。 流石のセイバーナイトも夜中までは煉達の捜索をしていないようだ。 その証拠に、通りには一人も見当たらない。 すると、教会のドアが開く音がした。 煉は誰がやってきたのかと思い右を向く。 そこには、肩まであった髪を後ろに束ね両手で菊を抱える里奈の姿。 里奈はゆっくり歩き、お互い1メートルぐらいの距離になったところで立ち止まる。 煉は里奈が何故まだ起きているのか、何故ポニーテールにしているのかと質問しようとすると、里奈が先に口を開く。 「久しぶりだね、煉君」 「?……里奈? じゃない……まさか……美奈?」 煉は驚きながらもそう言うと、里奈は怪訝な表情をする。 「うーん……ポニーテールにしたと言ってもりっちゃん髪短いから上手く出来なかったし、長い間会ってないのに一発でバレるとは……双子の面目丸つぶれだね」 笑みを浮かべてそう言った里奈……ではなく美奈。 煉の前にいるのは、里奈の体を借りた美奈だったのだ。
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