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孝地は少し移動をするとしゃがみ込み目を瞑る。
これで姉妹に奥の手でもあれば頭を撃ち抜かれて死ぬ。
後はもうただ自分を信じることにした。
「《追跡弾(トレイサー・バレット)》!!」
聞こえてきた姉妹の声。
同時に発砲音が耳に響く。
「…………」
痛みはない。
違和感もない。
つまり、銃弾は飛んでこなかった!
「はぁ……死んだかな?」
「でも……お姉ちゃん……霧が……消えて……ないよ? ゴホン!」
「持続性のある属性なんじゃない? はぁ……はぁ……霧を発生させるまでが属性の能力で、発生させたら霧はそのままなんだよ……ていうか、風邪かな? なんか息苦しい……ん、魅子慈!?」
人が倒れる音。
恐らく魅子慈が倒れたのだろう。
孝地はただ黙って成り行きを感じていた。
「はぁ……はぁ……魅子慈! どうし……はぁ……なんで……こんなに……息が……」
「…………」
「な…………んで……」
亜華羽も倒れたようだ。
それを悟った孝地は目を開ける。
そして、濃霧が消えるようイメージした。
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