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早い決着。
霧が晴れると、前方には姉妹が倒れていた。
原因は……酸欠である。
「悪いな……そこら辺だけ酸素を徐々に無くしてたんだよ」
大気中の成分を操り霧を発生させるのが能力。
そして相手が酸欠に陥るよう仕向けるのが孝地の秘策。
勿論、もうそれは解除してありちゃんと酸素を送ってあげればまた目は覚ますだろう。
「ちっくしょう……」
秘策が成功したのはいいが、右足に撃ち込まれた銃弾が痛み、孝地は上手く立てない。
「まだ……ピースは揃ってねぇ……あと、もう2つやることがあるんだ……踏ん……張らねぇとな!!」
孝地は上着で傷口を縛ると、よろよろになりながらも立ち上がる。
まずは姉妹を運ばなければならない。
姉妹の能力は孝地には必要なのだ。
次なる策はきっと煉達を救う。
それが孝地の精一杯の援護射撃であり、心で一緒に戦うという道だ。
「弱くても……」
姉妹の側でしゃがむ。
「弱くても……」
亜華羽を右腕で抱え……
「弱いからって諦めないで……」
魅子慈を左腕で抱え……
「足掻きまくって……足掻きまくってそれが報われた時……」
孝地は煉達の為に立ち上がり歩き出す。
「最高の達成感が待ってるんだろうな」
未来で煉達の側で笑っている自分を想像した孝地は不思議と力が湧いてきた。
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