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すると、突然セインはビクンと体を痙攣させる。
その間にも偽物セインがナイフの刃先を向け接近してきている。
「…………」
セインは無言で接近してきている偽物セインをジャムザルで薙ぎ払う。
その動きに一切の迷いはなく、しかし、顔を上げたセインの表情には生気が無く目は虚ろだ。
「これで少しはマシだろう」
そう言ってジャムザルを構えるセイン。
いや、セインを洗脳したオルガンだ。
「ふふ……成る程、確かにあなたならば少しはマシですね」
緋乃も察している。
オルガンがセインを洗脳したことに。
しかし、洗脳した場合のデメリットは幾つもある。
セインの体力の限界が分からないこと、セインがイメージしないと属性具現が使えないこと、そして猫だったオルガンは人間の体を完璧には操れないこと。
「ふふ……今のあなたはまともに動けない。それならば私でも充分に倒せます」
そう言って緋乃は沢山のセインを消し、姿を現す。
プールを挟んで遥か前方に緋乃はいた。
「やれるものならやってみろ!」
オルガンなら幻をある程度察することができるし、幻は幻と情に流されることもない。
更に緋乃の泡も攻撃能力はない、ならば肝心なのはセインの体の操作だ。
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