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「く、くそ!」
オルガンはすぐに立ち上がり緋乃と距離を取る。
口元から垂れる血液を左腕で拭うと表情はより一層険しくなった。
「(やはり不利だ! こちらは属性が使えないし、動きも悪い。これ以上セインの体にダメージを与える訳には……)」
「さて……幻影に惑わされるとはいえ、あなたのご主人の属性はかなり脅威です。なので封じさせていただきます」
「!?」
「参ります」
緋乃が珍しく走り出した。
オルガンはすぐにジャムザルを構えるが、緋乃は走りながら三人に分身する。
勿論一人は本物だろう。
二人の緋乃が左右に分かれ、真ん中はそのまま直進してくる。
「本物は真ん中だ!」
ジャムザルを緋乃に突き出す!
しかし、手応え無し!
と同時に左右から緋乃が襲いかかる。
本物は右か左かの二択……
「右だぁ!!」
右から襲いかかる緋乃にジャムザルを一振り!
またもや手応え無し。
オルガンは舌打ちをすると素早く左から襲いかかる緋乃にジャムザルを振った。
「んな!?」
しかし、手応え無し!
「こっちですよ」
緋乃は背後……恐らく右の緋乃に攻撃している間に左にいた本物は更に分身を作り背後に回り込んだのだろう。
「終わりです……《気泡火憐(キホウカレン)》」
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