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すれ違い様に扇子で左足を叩かれたオルガン。
その瞬間!
「ぐっ!? あああぁぁぁ!!」
左足に激痛が走りオルガンは倒れてしまう。
尋常ではない痛みの余り、左足を抑えながら地面を転がり回る。
「はぁ! はぁ! き、貴様! 今、一体何をした!?」
見下すように視線を送る緋乃を見上げながらオルガンはそう言った。
扇子で叩かれただけでこんなに痛みはない筈だ。
「別に……ただ泡を発生させ破裂させただけですわ」
「はぁ! はぁ! うっ……あ、泡……だと?」
左足を動かそうとすると激痛が走り、その痛みは全身を支配する程だ。
倒れているオルガンに緋乃は左手を向けた。
すると、緋乃は左手の親指で左手の人差し指の第一関節を上からギュッと押す。
すると、ポキッという乾いた音が響く。
「何故骨が鳴るかご存知ですか?」
「はぁ……はぁ……」
考えてみるが、痛みに頭が支配され上手く思考が働かない。
「厳密に言えば骨は鳴ってないんです。関節を強い力で曲げると、骨と骨の間にある滑液に気化が起きてしまうのです。
その結果、滑液の中に溶け込んでいた酸素や水が気化した蒸気などが気泡となって発生する……お分かりですか?」
こんな状態で分かる筈がない。
オルガンはそう思った。
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