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「ふふ……あのまま洗脳されていればよかったのに……」
「断る。我の体は我のものだ。仕方ないとはいえ、二度と洗脳はゴメンだ」
「どちらにしろ運命は既に決まっていますわ。あなたは、いやあなた達は全員死ぬ……セイバーナイトに逆らった者はそういう運命なのです」
緋乃は笑みを浮かべているが、目は笑っていない。
しかし、そんな緋乃にセインは大笑いで返した。
「フハハハハ!! 運命か……なんという曖昧な響き。結果というのは過程により決定される。ならば過程が変われば運命も変わるかもしれぬぞ?」
「覆せないのが運命……それはこの世の定理です」
「ほう?」
セインは痛みで汗をかきながらも笑ってみせた。
まだまだ笑える。
笑える限り戦える。
何故なら希望が溢れているからだ。
セインは空を見上げ両手を広げる。
「ならば……誰が予想した? このセイバーナイトに少年少女が攻め込むのを。誰が予想した? 一生を神に祈ることに捧げることを誓った我がそんな少年少女に手を貸すなど。誰が予想した? 誰よりも経験の浅い少年が世界を改変することを決意することを……我は思う。世界は、神様は運命を変えて下さったと。未来は切り開かれたと!」
セインは広げていた両手をそっと合わせる。
そのまま目をつぶり神に祈る。
そして感謝した。
煉達に出会わせてくれたことを。
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