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「ぐ…………」
セインはゆっくりと大の字で倒れた。
まだ左足と右腕には激痛が走っている。
「オルガン、頼む」
「了解した」
オルガンはセインのローブの懐からナイフを取り出しくわえる。
そして、緋乃の元へと走り出した。
武器猫の魂を無くしに行かせたのだろう。
「この我がここで脱落とは……」
卯化の使用で体は疲労感でいっぱい、更には足と腕が不自由でとても戦力になれそうにはない。
少し経つとオルガンが帰ってきた。
「もう心配はない、俺達の勝ちだ」
「うむ、ご苦労」
セインがそう言うとオルガンは心配そうな表情になる。
怪我をさせたことに負い目を感じているのだ。
「本当に済まない」
「なに、このぐらいどうってことはない」
「しかし、この状態では少年達に加勢できない。もっと俺が……」
「フハハハハ!!」
突然セインが笑い出しオルガンは驚く。
「いらぬ心配だ。彼らは我がいなくても大丈夫。斎藤 煉はきっと世界を救いに導く。もし、彼らだけで越えられないような壁ができても、彼に導かれた者が必ず協力してくれる。そういう存在なのだよ……少年はな」
セインは笑顔でそう言うと、空を見つめながら目をつぶり神に祈りを捧げる。
煉にご加護があるように……と。
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