◆ほんの一時の休息◆

14/16

3355人が本棚に入れています
本棚に追加
/541ページ
「激怒した……」 煉がそう呟くと、美奈は強調するかのように頷く。 「煉君、ルイちゃん、イアスの記憶を見た私なりの推測だけどね。彼は煉君や煉君の両親に深い憎しみを持ってる。だから、今までダークナイトとセイバーナイトの影に潜み力を蓄えていた筈。煉君に確実に絶望を味あわせる為に……」 「…………」 煉はもう察した。 黒幕は煉に深い憎しみを抱いてる人物。 つまり、煉に感情の表し方を教えた櫻井 亮太……今は《斎藤 煉》と名乗る者。 「僕を追い込んで感情を引き出そうとしたのは……」 「心に揺さぶりをかけ裁きの猫を引き出す為。私が一手早かったから一時は凌いだけど……」 美奈はそこで話を一旦区切り俯く。 そして、心配そうな表情を煉に向け口を開いた。 「ダークナイトの計画は最終段階に入ったんだよね? なら彼も動き出す。全てを終わらせる為に……でも今の煉君じゃ絶対に勝てない」 「大丈夫。僕にはみんながいる」 煉は力強くそう言った。 しかし、それを否定するように美奈は首を横に振る。 「煉君にあの絶望は耐えられない」 「あの絶望?」 「うん。今教えたら煉君は戦えなくなる。でも確実にやってくるあの絶望……それを超える為には……」 美奈は煉の胸を指差す。 「裁きの猫が必要なの」
/541ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3355人が本棚に入れています
本棚に追加