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その時だ。
「やばい! 茜さん、話はまだ終わらないのか!?」
スキンヘッドの男性が焦ったようにそう叫ぶ。
茜が振り返ると、スキンヘッドの男性の目線の先に、マイクが両腕を上げていた。
その両手には《裂》《焔》を使う二人の男性の首が掴まれていて、血だらけの二人の男性は持ち上げられたまま動かない。
「クク……」
返り血により口元に付着した鮮血をマイクは笑みを浮かべたまま舌で舐めとる。
「時ちゃんの部下が……想像以上だな」
茜はそう呟くと、煉から手を離し背中を向けマイクの方を向く。
「行って」
「でも!」
「煉ちゃん」
首だけ振り返った茜は優しい微笑みを煉に向けた。
「あたしを信じて。あなたの家族であるあたしを信じて。あたしも煉ちゃんのこと信じてるから。時ちゃんの笑ってたこの世界を……絶対守ってね」
「…………」
宝時は最後笑っていた。
そして、この世界で過ごしていた時間は宝のようだったと言っていた。
「そうだ、宝を守らなきゃ……」
煉は刀をギュッと握ると振り返る。
そして……一歩踏み出す。
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