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「そうやって仲間だからとか……必要としてるからとか……そういう言葉を言われる度に俺は惨めになるんだ。どう考えたって俺は隊長達には勝てない……属性の相性がいいイアスにだって向こうが本気になったら俺なんか簡単に潰される」
「なんでそうやって自分を卑下するの? そんなのやってみなきゃ分からないじゃない!」
里奈の言い分も最もだ。
やってみなきゃ分からない。
しかし、孝地はもう味わいたくないのだ。
「実はさ……俺、最初自分は強いと思ってた。でもお前に簡単に負けた。リベンジしたら煉にも負けた……けどさ、煉は俺を誘ってくれたよな。そのおかげでお嬢様に会って母さんを救えて、煉にはめちゃめちゃ感謝してる。だけどよぉ……」
そう言って孝地は右手を上に伸ばす。
まるで、見えない何かを掴もうとするかのように。
「必死で考えたんだ。お前らにどうやったら恩返しできるか。戦いになれば俺がいの一番に敵を倒し、時には盾になり、そうやって役に立ちたかった。けどさ、お前らどんどん強くなっていくんだよな。どんどん俺から離れていくんだ。お前らの役に立ちたいと思えば思う程、お前らは離れていくんだ」
孝地は何かを掴もうとするが、逃してしまったかのように手を開く。
「お前らが心も強くなっていくのに対し、俺は弱いことに負い目を感じてずっと卑屈だった。分かるか? なぁ……」
孝地は振り返り里奈を見上げる。
その表情は必死で涙をこらえていた。
「分かるわけねぇよなぁ!! お前らに俺の気持ちが!! 置いていかれる俺の気持ちが!! 怖いんだよ……足手まといになってる俺を想像するのが……怖いんだよ……すべてが終わった後に、お前らと肩を組んで本気で笑えないのが……怖いんだよ……
煉に、孝地のおかげでって言われなかった俺を想像するのが……」
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