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「里奈、美奈、泰陽、ヒメ、孝地……そして武器猫みんなの未来を僕は守りたい。世界を救う裁きの猫が必要だ。だから……僕は自分を信じてみるよ。沙助が信じてくれてる僕を信じる」
煉はしっかりと美奈の目を見据え力強くそう言った。
決意という言葉では計りきれない程の覚悟を持って……世界を、未来を、全てを救う覚悟。
煉の目には確実にそれが宿っていた。
美奈はゆっくりと頷くと、菊を膝の上に乗せ、煉の両手を包むように両手で覆い目をつぶる。
「懐かしい温もり……事故に遭う前に公園で煉君の手を握って以来だね。その時、属性具現を使って煉君の過去、私への気持ち、全部見たの……すごく嬉しかったよ」
煉の両手と美奈の両手が淡い光に包まれる。
「あの時の僕の心は……相当冷たかっただろうな」
煉がそう呟くと、美奈は否定するように首を横に振る。
「そんなことないよ。ちゃんと温かかった。でも今の心の方が凄く優しい温かさ。煉君の心に色んな人の繋がりがある証拠だね」
「だから負けられない。絶対に……明日全てを終わらせる、何もかも。多少、荒っぽくても奴らを分からせるにはちょうどいいぐらいだ」
「うん……頑張ってね。私はずっと信じてるよ、煉君を」
淡い光が消えていく。
ゆっくりと、切なさを残しながらもゆっくりと消えていく。
そして、淡い光は消えた。
明日は……遂に決戦。
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