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向かってくるジル。
しかし、草部は立ち向かおうとはせず、ジルに背を向けて走り出した。
「オイ、逃げんのかよ!!」
「んな訳ねぇだろ、ハゲ!!」
すると、草部は屋上にまで生やした大木の頂上に飛び移る。
当然ジルは立ち止まった。
相手の得意フィールドに飛び込まない為だ。
「やっぱり逃げてんじゃねぇか」
「俺もあんたも結構グロッキーだろ? だからよ……面白い決着の方法を考えたんだ」
疲れの為汗を垂らしながらも、そう言って草部は大木の端に移動し下を指差す。
「チキンレースと洒落込もうぜ?」
草部のその言葉にジルは驚いたような表情になる。
そして、その表情は段々と不適な笑みに変わっていく。
「成る程……てめぇ、なかなか男じゃないか。アタイにそんな条件出すなんて。いいぜ、乗ったァ!!」
ジルはまたもや走り出す!
そして、あろうことか……屋上から思い切って飛び降りた!
それに便乗するように草部も飛び降りる。
この16階建てのホテル、地上まではたったの80mしかない。
だからこそのチキンレース!
武器猫所持者なら属性具現を使えば着地は気にすることはない。
地上に降りるまでに決着をつけるのだが、先に地上を気にした方がそれが隙となりやられてしまう。
草部はそういう勝負へと持ち込んだのだ!
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