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地上まで後何メートル?
勿論これはチキンレース、それを気にした時点で負けだ。
地上は着々と迫っているが、二人はそれを忘れているかのように激戦を繰り広げる。
「死ね!!」
草部が鞭を弾いたその隙を狙い、ジルが左手を向けてきた。
そこから弾丸のように伸びた針を、草部は首を傾けて間一髪かわす。
草部も負けじとツルを伸ばし応戦するが、針で串刺しにされてしまう。
「へへ、いいのかい!? 下を気にしなくてよぉ!!」
「あんたが気にしたら、俺も気にしてやる……よ!!」
ツルを伸ばすが、ジルは器用に体を捻りそれをかわす。
そして、あろうことかジルはそのツルを掴もうとするが、流石に落下しているという状況で上手く掴めなかったようだ。
「ちっ!!」
「!!」
焦っている。
だからこそジルは今、助かろうとツルに手を伸ばした。
草部の思惑では既に勝敗は決した!
ならば、もう余計なことはせずただジルを凝視すればいいだけだ!
「て、てめぇ、いいのかよ!」
「だから、あんたが下見たら俺も見てやるっつってんだろ!!」
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