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「!?」
草部が伸ばしたツルは、ジルの鞭を持つ右手を叩く。
衝撃で鞭を手放してしまったジルをそのままツルを巻きつけ急停止させた。
「う!?」
草部は予め用意していた草木のクッションに落ちた。
だからこそ、この勝負に持ち込んだ訳だがどうやら勝てたようだ。
クッションとはいえ、凄まじい衝撃が針が刺さっている脇腹に伝わる。
そのせいか、血がじわりと服を濡らしていく。
傷口が更に開いてしまったようだ。
傷に熱が持ち息が荒くなっていく草部。
「はぁ……はぁ……チキンはてめぇの方だったな」
無理に笑みを浮かべながらも、ツルに巻かれたまま気絶しているジルにそう言った。
武器を手放し落下から逃れる術を失ったジルは気絶したらしい。
「はぁ……はぁ……やべ……頭が……変になってきた」
草部は力を振り絞り鞭から猫に戻ったジルの猫もツルで捕まえた。
「はぁ……後は……誰かに任せるか……ゴホ……頼んだぜ……煉……」
草部はゆっくりと瞼を閉じる。
チキンはジル、勝者は草部だ。
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