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「優勝は大会史上最年少のマイク・ムジカ君だぁ!! おめでとう!!」
ステージには大きな金色のトロフィーを持ち、これ以上とない満面の笑みでピースをするマイクの姿があった。
優勝したのだ。
他の強者を蹴落とし、見事努力を実らせた。
「ハハ……やったァァァ!!」
その後、マイクは持ってきたお小遣いでヨーヨーを買ったり、有名なプロスピナーのサインをヨーヨーに書いてもらったり、とにかく楽しく過ごした。
この日は初めて心の底から笑えた日であり、初めて心の底から楽めた日であり、初めて心の底から生きていると実感できた日だった。
しかし、幸せの時間はあっという間に過ぎてしまう。
気付けば太陽は沈みかけていて、マイクは帰宅の途中だった。
何故か、その表情からは笑みが消えていた。
「はぁ……」
ため息を吐く。
大会は日曜日に開催された。
しかし、日曜日は学校が休みだからと1日塾に通わされていた。
その塾を無断で休んで大会に来てしまったマイク。
塾から家に電話が来ていれば、間違いなく叱られる。
トロフィーもなんとか隠さなければいけないし、増えてしまったヨーヨーの新たな隠し場所も考えなければいけない。
問題は山積みだ。
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