3355人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、目の前には自宅の玄関。
両親が出掛けていることを願いながら、マイクは鍵をドアの鍵穴に差し込む。
そして、回してみると……
「!」
なんの抵抗も無くするりと回る。
鍵がかかっているならカチャリという聞き慣れた音と共に手に多少の抵抗はある筈だ。
しかし、それが無いということは鍵はかかっていない。
つまり、両親は出掛けていない。
「自分の好きなことをするのは悪いことじゃない……堂々としていればいいんだ」
そう言いながらもトロフィーと買い物袋を持った左手を背中に回しながらドアを開けた。
「…………」
ドアを開けた瞬間に視線を右にやる。
そこにはハンガーにかけられた父親の高そうなコート。
両親が、とくに父親が出掛けていて泥棒が入ったから鍵がかかっていなかったことを少しばかり願っていたマイク。
マイクは音を立てずにドアを閉め、ゆっくりと靴を脱いだ。
そして、リビングを迂回し自分の部屋がある二階の階段へと足音を立てないように向かう。
「マイク!!」
「!?」
階段の一段目に足を乗っけた瞬間、怒号に近い声を背中に投げかけられる。
マイクは咄嗟に振り返りトロフィー等を背中に隠した。
リビングのドアから顔を覗かせていた父親はマイクの前までやってきた。
最初のコメントを投稿しよう!