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「な、なに、お父さん」
自然と声が震えてしまう。
なんとか冷静さを保ち普段通りにしようとマイクは必死だ。
「なぜ、こそこそ帰ってくる? ただいまはどうした?」
「ちゃ、ちゃんと言ったんだけど、僕の声が小さかっただけだよ」
なんとか言い返すが、尚も父親は全てを見透かしているかのような目で見てくる。
「今日は何処へ行っていた?」
「いつも通り塾だよ!」
しまった……ちょっと必死になって言ってしまったと後悔した。
だが、何処へ行っていたのか? という質問をしてきた時点でもうバレているだろう。
「そうか、塾へ行っていたのか。だが、先程その塾から電話がかかってきてな、マイクが来ていないと言っていた」
やはり無断で休んでしまえば電話が来るのは必然だろう。
せめて塾には、嘘を付いて風邪で休みますと言っておけばよかったと後悔した。
しかし、既に想定内の最悪な状況が起きている。
「背中で隠している物はなんだ? おもちゃか? ゲームか? 塾を休んで何処へ行っていたんだ?」
威圧的な質問攻め。
マイクはもう観念した。
そっと背中の後ろに回していた左手をまえに持ってくる。
「優勝トロフィー?」
父親はトロフィーをマイクから取ると、それを睨む。
「しかもヨーヨーだと!?」
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