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マイクは一番を得る度に堪らない達成感に酔いしれるが、それと同時に恐怖も感じていた。
もし、この努力が報われなかった日が来たら自分はどうなるのだろう。
一番になれなくなった時、自分は一体どうなるのだろうか。
「…………」
マイクは拳を握りしめた。
また、両親に蔑まれる。
学校の連中に蔑まれる。
そんなことはあってはならない。
見下されない為には見下すしか方法はない。
そんな時だ。
「?」
背後で拍手をしている人物がいる。
振り返ると、そこには白衣を着た眼鏡をかけた短髪の男性がいた。
「いやはや素晴らしい。噂通りだ」
「誰だ」
睨むように男性に視線を向けそう聞くマイク。
「私の名前はフィスタ。いずれは世界を牛耳る男だ」
「フン……お前が? 残念だがそれは叶わない。俺は誰にも支配されないからだ」
「知っているさ。だから交渉しに来たのだよ……私と共に世界を見下してみないか、とね」
世界を見下す。
最初はフィスタの言うことは馬鹿馬鹿しいと考えていたが、考えれば考える程、その言葉の魅力に引き込まれる。
世界を見下せばさそがし気持ち良いだろう、そして誰も逆らえなくなるだろう。
自分にはそれすらも成し遂げる才能がある。
……面白い。
「私と共に来い……マイク・ムジカ君」
「…………」
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