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「…………」
茜はアミルダとマイクの戦闘を自分が吹っ飛ばされたビルの屋上から眺めていた。
そして気付く。
マイクという恐ろしき人物の正体を。
「茜……大丈夫でちゅか?」
「…………」
真似した属性具現の内の一つ、《読》でアミルダとマイクの心を読んでいた茜。
その表情はとても険しい。
アミルダからは強敵と対峙している楽しさ、敵にどう攻撃するかなど、様々な思考が読み取れる。
しかし、マイクからは何も読み取れない。
それはつまり、マイクは何も考えていないということだ。
あの、ヨーヨーで弾いた刃物で刃物を相殺するという動きも、考えてからの動きではない。
無意識とは違う。
けれど計算された動き。
「あたし達が相手にしてるのは……本物の化け物だ」
考えが無いというのはまずありえない。
冷酷無比と言われるイアスですら、どう攻撃を当てるか、どう避けるか、トドメを刺す際の心情などを思考する。
それは人ならば当然だ。
勿論、考える前に体が反応するというのもある。
しかし、マイクは常に考えていない。
欠片さえも見つからない。
まるで、予めプログラムされているかのようにマイクはその状況で最善の動きを考えもせず実行に移す。
まるで、心までも機械かのように。
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