3355人が本棚に入れています
本棚に追加
茜はチラリとアミルダの横顔を見る。
汗が伝うその頬、息が少し荒い。
それは先程から呼吸と同じように僅かに振動している鎖鎌、瑠璃丸も同様だった。
属性融合を多様したせいか、瑠璃丸も限界が近づいている。
しかし、マイクに至ってはダメージどころか息すら乱れていない。
いや、機械に呼吸は不必要だろう。
「君、なんで強いのにそんな奴に従ってんの?」
「私も疑問に思っていました。フィスタはあなたのことを道具にしか思っていませんよ?」
その質問にマイクは答えず、代わりにフィスタが答えた。
「マイクは私に逆らわないのではない。逆らえないのだよ」
「…………?」
マイクがフィスタに逆らえない。
それは何故と問い掛ける前にフィスタが続けた。
「私の能力は生物には効果がない。人間に対して力を発揮しない。だからこそ、機械化しているマイクに対しては有効なのだ。つまり、私だけが"稼動状態"のマイクを"停止状態"に変えることができる。それが唯一の……停止という死を持つ機械の弱点なのだよ」
「…………」
茜は理解した。
だからこそ、フィスタは茜の前から姿を消した。
マイクの弱点である属性を持つのは、皮肉にも敵の親玉。
それを真似されない為に、茜に属性を見せないようにしたのだろう。
しかし、何故それを分かっていながら茜の前に姿を現したのか。
最初のコメントを投稿しよう!