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里奈は粉々になった窓から外に出ると、前方にいる人物を睨む。
「あんたは?」
「フフン……アタイはジル!! 《ジルエマ・タイラロー》!! ここを通りたきゃあたしを倒してから進むんだね!!」
ジルと名乗る仁王立ちしている女性。
サンダルにショートパンツ、そして青いへそ出しキャミソールと、とてもラフな格好をしている。
しかし、特徴的なのは真っ赤なベリーショートに、耳、へそに付いてある大きなピアス。
右手には先程里奈を投げ飛ばしたのに使ったであろう黒い鞭。
「チッ! まだまだガキじゃんか。本部に来いっつーから来てやったのによぉ、アタイにガキのお守りをしろってか!?」
「…………」
里奈は身構えた。
本能が言っている。
ジルと名乗るこの女性……かなり強いと。
「おい、ガキ! ちっとばかし悪ふざけが過ぎたようだね! 仕方ないからアタイがしつけしてやるよ、ほらかかってきな!」
人差し指でくいっと挑発してくるジル。
里奈は黙って両足に朱い炎を宿すと、腰を低くし身構える。
挑発に乗る訳にはいかない。
できるならここは戦わず先に進んだ方がいいが、ジルは放っておくと後々厄介な存在になる可能性がある。
「やるしかない」
「さっさとかかってこい、ガキ!」
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