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一方……
「…………!!」
「…………」
自らに向かって振り下ろされた筈のトンカチは、顔の数㎝横の地面にめり込んでいた。
煉は驚きながらそれを見ており、草部は前髪で目が隠れ表情が見えない。
「……為に」
「?」
何かを呟いた草部の方に煉は視線を向ける。
「こんな奴の為に俺は力を磨いてきたのか? ハハ! 冗談よせよ!!」
「うっ!?」
草部の右拳が煉の頬を捉える!
口の中を切ったらしく、じわりと鉄分の味がする血が口内に広がる。
「てめぇさっきなんて言った? 武器猫だけを倒す?……てめぇはそんな覚悟でベースシグレータに攻めたのか? たった一人の同級生が出てきただけでこんなにボコボコにされるような覚悟で?」
「!?」
草部は険しい表情をしていた。
そして本気で怒っていた!
煉の不甲斐なさを!
「俺は……こんな覚悟のねぇ奴を倒す為に鍛えた訳じゃねぇんだよ!!」
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