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身体を撫でる風が止み、音も聞こえなくなる。
煉はゆっくりと目を開け、刀を支えに立ち上がった。
卯化と属性を存分に発動したのだ、もはや煉と沙助共に体力は残っていない。
「はぁ……はぁ……」
絶景……
目の前に広がるは更地。
草部が出現させた森林は一本残らず全て刈り取られ建物すらも半壊状態。
煉は瓦礫や倒木を避けながら歩き始め、少し歩くと大の字で倒れている人の姿。
煉はその倒れている人物の目の前まで来ると、笑みを漏らす。
「どう? これでもまだ実力不足?」
煉がそう言うと、倒れている人物、もとい草部は鼻で笑いそっぽを向く。
「けっ! 心配した俺が馬鹿だったよ」
「そりゃどうも」
二人共持てる力の全てを出し尽くし、そしてぶつかり合い分かり合った。
二人に残る感情は勝った達成感でも、負けた悔しさでもなく、通じ合った喜び。
「ーーーー!!」
「?」
遠いところから叫び声が聞こえる。
煉が振り向くと、こちらに向かってくるルイと信者達がいた。
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