3355人が本棚に入れています
本棚に追加
「お兄ちゃん!」
ルイは真っ先に煉に抱きつく。
余程心配だったのだろう。
「ルイ、勝ったよ」
「馬鹿!」
「?」
勝利の報告をしたのだが、返ってきた返事は罵倒だった。
ルイは煉から離れ、よく見るとその表情は怒りに満ちている。
「る、ルイ?」
「そんなにボロボロになって、属性具現も使い果たして、この先どうやって戦うの!?」
「うっ……」
感情に任せ何も考えていなかった煉。
とにかく草部を納得させようと全力を出した結果、こんなことになってしまった。
本来なら回避しなければいけない戦闘にも関わらずだ。
「本当ならこんな奴無視して先行った方がよかったんだよ!? お兄ちゃんが戦えないだけで数少ない戦力が大幅に削られたの分かってる!? 」
「おい、こんな奴ってなんだよ」
「うるさい、馬鹿は黙ってて!」
「…………」
一人の少女に説教される兄とその友人。
言っていることは何一つ間違っていない為、ただただ黙って聞くことしかできない。
最初のコメントを投稿しよう!