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「むお!?」
セインの視界が揺らぐ!
しかし、揺らいだ訳ではない……緋乃や泰陽が何故か遠ざかっていくのだ!
いや、遠ざかっているわけでもない!
セインは走馬灯のように時間がスローになる刹那、理解できない事実に気づく。
そう……自分が落下していることに。
「お、おおおぉぉぉ!!」
「セイン、早く掴め!」
肩に乗るオルガンに言われるまでもなくセインは咄嗟に手を伸ばし屋上の縁に捕まった。
オルガンもセインの肩にぶら下がり危ない状況だ。
しかし、おかしい。
あんなに広かった屋上、ちゃんと屋上から落下しないように自分の位置確認はしていた上で後方へ跳んだ筈。
「実はこの屋上、もうちょっと狭いのです。まぁ、あなた方が幻に捕らわれ広いと錯覚していたようですが」
「(やられた!!)」
つまり、この屋上に敵が来ると緋乃は想定していた。
先手を打たれていたという訳である。
「セインさん! ち! 邪魔なんだよ!!」
助けに走っている泰陽だが緋乃の無数の幻影が繰り出す泡に手間取られ、間に合いそうにもない。
「では、空中での散歩をお楽しみ下さいな」
「く!」
緋乃は微笑みながら縁に捕まっていたセインの右手を蹴る!
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