白き狼、太陽の下で

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「・・・これって入っても良いんだよ、ね?」 この自分自身に対する確認は何回目だろう。 ハクヤは、ドアノブを掴んだまま、自問自答を繰り返していた。 「いや、本人からの了解も貰ったわけだし・・・いいよな?」 しかし、ドアノブを引く勇気が出ない。 女性の家に上がるというのは、気が進まない様子だった。 (あー、もう!仕事だと割り切って・・・) 手を自分の方に、引き寄せる。 すると扉も付いてきて、ギイと音を立てながら、家の口を開けた。 「・・・お邪魔、します」 誰もいないはずだが、口に出さずにはいられない。 「誰だよ?」 そう油断していたハクヤに、家の内から声が返ってくる。 「・・・え?」 ハクヤは、驚きと焦りの含んだ表情で、声の主を探った。 彼を待ち受けてたのは、五匹の幼いヤギ達であった。
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