白き狼、太陽の下で

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一匹のオオカミが 丘の上からヤギの集落を見下ろしていた。 ヤギがオオカミに襲われることは 弱肉強食の世界において、何の不自然もないことだった。 ―――ならば この風景が自然かと尋ねられると、 そうではないと首を振っただろう。 何故なら、黒を象徴とするはずのオオカミの毛は 白銀に煌めいており、 獲物を捕えるその瞳は 迷いや悲しみの色に染まっていたから。
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