12人が本棚に入れています
本棚に追加
一匹のオオカミが
丘の上からヤギの集落を見下ろしていた。
ヤギがオオカミに襲われることは
弱肉強食の世界において、何の不自然もないことだった。
―――ならば
この風景が自然かと尋ねられると、
そうではないと首を振っただろう。
何故なら、黒を象徴とするはずのオオカミの毛は
白銀に煌めいており、
獲物を捕えるその瞳は
迷いや悲しみの色に染まっていたから。
最初のコメントを投稿しよう!