白き狼、太陽の下で

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「・・・どうしようかな、これ・・・」 白き狼は、川の水を眺めていた。 見つめているのは、己の顔・・・。 いや、正確には頭に付いている耳である。 「尻尾は隠せるんだけど・・・耳はばれちゃうよな」 彼は落胆したように、肩を落とした。 今の彼にとって、耳は邪魔な存在なのだ。 ――――――――― そのオオカミ、名を“ハクヤ”といった。 白銀の髪は太陽の光を吸い込み、とても美しく輝いていた。 しかし、その髪故に、彼の仲間からは異形と言われてきた。 親に捨てられ、拒絶された。 そんな彼は居場所を求めた。 そして、長い間の努力の結果、ハクヤは最初で最後のチャンスを手に入れた。 そのチャンスとは、 この村にいる美しいヤギを捕まえること―――
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