白き狼、太陽の下で

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―――――――― 「こんにちは、私たちの村にようこそ」 「この村に来たのは、初めてかい?」 「あら、可愛い坊やだこと」 ヤギの村に入ると、相手がオオカミだとも知らずに、ヤギ達は寄ってきた。 誰一匹として、疑うものはいない。 耳を隠し、黒を持たないだけで、これほど信用するものであろうか。 「ねぇ、坊やは何しにこの村に来たの?」 呆気にとられていたハクヤに少し肥えた、優しそうなヤギが尋ねた。 ハクヤは、冷静を装い、質問に答える。 「ソーラっていう、美しいヤギを知りませんか?」 「あら?それって私たちは、綺麗じゃないって言っているのかしら?」 ハクヤを取り囲んでいたヤギの一匹が、悪戯に発言をした。 「えっ・・・あ、いや・・・そういうわけじゃなくて・・・」 「ふふ、冗談よ!ごめんね、意地悪な質問して。ソーラほど綺麗なヤギ、私だって見たことないもの」
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