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「その、ソーラってヤギの家の場所は!?」
「村の外れの、クスノキの木の隣よ」
ヤギが指差した先には、ここからでも分かるほどの大きさのクスノキが見えた。
(なんだ・・・ヤギは用心深いと聞いていたが、簡単に答えるじゃないか)
「ありがとう」
ヤギ達に一礼すると、ヤギのギャラリーを掻き分け、クスノキを目指した。
―――――――――
近付けば、近付くほど大きくなるクスノキ。
その木の隣には確かに、小さな家が建っていた。
あの家に、ソーラはいるらしい。
ハクヤは緊張に冷や汗を流しながらも、己の目の前に集中する。
ゆっくり、ゆっくりと家へと近寄る。
布が覆っている敏感な耳には、心臓の音しか聞こえない。
震える手でドアノブを掴もうとした瞬間であった。
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