2

2/3
前へ
/14ページ
次へ
これは運命やと思った。神様が俺に与えてくれたサプライズやとも思った。あん時は彼を俺から奪い取った神様を激しく恨んだが、今は感謝の気持ちでいっぱいや。彼と再会できた今、やから・・・。 2年ぶりに見た章大はびっくりするほど綺麗になっていた。昔は可愛いって感じやったけど、今では大人の色気というものを身に纏い、さらに魅力的になっていた。 金髪やった髪は落ち着いたダークブラウンへと変わり、くるくるパーマやったのに緩くウエーブを描くぐらいになっている。全体的に落ち着いたのだ。俺の知らない章大がそこにはいた。誰が章大をこのように変えたのやろうか。考えるだけで激しい嫉妬が沸き上がってくる。 しかし、変わらないところもたくさんあった。抱きしめた時の少し高い体温とか、柔らかい唇とか・・・キスしている最中にぎゅっと俺にしがみついてくるとことか・・・。 ホンマに諦めんで良かったと思う。お互いを嫌いになって別れたわけやないから、余計に・・・・。章大が俺の目の前から消える前日まで俺らは笑い合って、愛し合っていた。それやのに、いきなりこつ然と姿を消した彼を俺は忘れられへんかったんや。風の噂では結婚したとか聞いてたけど、そんなん知らん。関係あらへん。結婚していても、奪い返すだけや。全力で、な。 「章大、今晩空いてる?」 「少しだけなら・・・・。」 「なら、リッツカールトンのロビーに6時に。」 「今晩空いてる?」の意味が分からないほど章大も子どもではない。お互いいい大人なのだ。それに「NO!」を出さない章大は、今晩のことを了承しているということやろう。震える声で小さく「少しなら」と言った彼は、揺れる瞳で俺を見、そして視線を床に落とす。 落ちたな。まずは第1関門を突破出来た。あとはどう攻めるべきか。考える時間はまだまだある。ゆっくりと時間をかけて考えよう。彼を思い出に変えることが俺には出来ないのだ。なら、努力するしかない。 章大の顎を掬い、最後にもう1回とびっきり甘いキスをした後、俺は彼の会社を後にした。 、
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

398人が本棚に入れています
本棚に追加