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涙で顔がぬれていた。
不思議なことに、その感覚は私の物に思えなかった。まるで、別の人のなかにいるみたい。
その時の私の体は、もはや私の意思で動いていないようだった。
私の中のちいさな命は、強く締め付けられるほど、強く抗って、最も効率良く体を動かし、一定の呼吸を続けさせた。
私は生きる。
兄さんも母さんも、きっともうどこにもいない。
でも私は生きる。
生きる意味なんて関係無い。
死んだら、意味なんて最初からなくなってしまう。
私は死なない。
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