はじめに

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1996年5月の夜… 少しだけ蒸し暑い夜に一本の電話があった。 電話に出ると、たけしの父さんからだった。 『あっくんか?お母さんはいるかい?』 『今、隣の金寿司にいるけど、どうしたの?』 『あっ…。そうなんだ…。じゃあ、寿司屋に電話してみるね。』 と、たけしの父さんは、オレにそう言うと、電話を切った。 程なくして、父親と母親が帰ってきた。 帰ってきた親の顔を見た瞬間、とてつもなく嫌な感じがした。 そう感じ取った後、すぐに母親から… 『たけしの母さん、亡くなったんだって…』 『…。』 『…う、うそだ!!』 ウチら家族には耐え難い訃報であった。 たけしの家族とは、オレら家族が引っ越してきてからの付き合いで、ちょうどオレが一歳になったばかりだったから…もう、10年ぐらいの付き合いにはなっていた。 あとで母親に聞いたところ、たけしのおばちゃんは、ウチらが旅行をしている日に、病院の個室で家族と親戚に看取られながら静かに息を引き取ったようだ…。 そして、葬儀もすぐ行った為、後日ウチらが伺った時には、体は白い骨壷の中に入っていて、その後ろに、微笑んでいるたけしおばちゃんの写真が飾られていた。 小さくなったおばちゃんの姿を見た母親は、その現実に耐えきれず、しばらく泣いていた。オレは、その現実を理解できず、放心状態になっていたのを今でも鮮明に覚えている…。 今思えば、たけしのおばちゃんはウチら家族に、自分の亡くなった姿を見られたくなかったのかな…?と思うときがある…。 たしかに、どう思い出しても、ユーモアのあるおばちゃんしか思い出せない。 その為か、あの日あの時の楽しくて、充実していたあの頃の事は、すぐに思い出す事は出来る! なので、これからオレは、あの日あの時の事を懐かしみながら書いていこうと思います👍
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