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彼らはその後、会うことはなかった。
それでも、成長し君主となっても、いつも再会を約したあの笑顔を思い出し、必死に生きていた。
そして、幾星霜――
いつか2人の少年が指切りをした浜辺では、2つの軍が睨み合い、開戦を間近としていた。
「野郎共!嵐よりも烈しく暴れてやんな!!」
「…防衛戦を展開する、遅れをとった者は斬り捨てる!」
両軍の大将が檄を飛ばしたことを皮切りに戦が始まった。
紫と翠が混ざることなく鮮紅に染まる。
その乱戦の中、大将である2人も、得物を構え、対峙していた。
向き合う表情は無く、言うべき言葉など見付からなかった。
先に口火を切ったのは、紫の装束を纏う、西海の鬼。
「約束、果たすぜ…松寿」
『僕の知らない所で居なくなったりしないで』
「…ああ、今こそ、その刻であるな…弥三郎」
『勿論、約束しよう』
「…毛利元就!」
「…長曾我部元親!」
「「今この場で決着を着けようぜ(ぞ)!」」
得物を交える2人の頬は、確かに涙で濡れていた。
そんな、昔々に何時か何処かで誰かにあったかもしれない、物語。
END
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