第9章

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そっと2人の死体に近づき、隣同士に寝かせなおす。 テーブルに目を向けると、少し前まで笑いあっていた仲間達が見るも無惨な姿をしていた。 全員を2人の隣に順番に寝かせていく。 7人を並べる。 血だらけな者。 顔のない者。 苦しみの表情を浮かべる者。 改めて思う。 俺はこのゲームに負けてはいけない。 負けるわけにはいかない。 薄れつつある正気を僅かだが、取り戻し気を引き締める。 「優しいね」 志保が後ろからそっと肩に手を置いた。 「そんなことないよ…」 しずかに俯く。 「ただ…悔しいな…」 「………そうだね…」 振り返り志保を見る。 だが志保の顔は目に入らず、後ろのもう一人が目に入った。 里美が、爪を見て「かけちゃった」と呟いている。 ありえない。 仲間が死んでいるのにあの態度。 俺の予想が外れていても、アイツだけは許さない。 志保の手を取り部屋の隅へ移動する。 「いきなりどうしたの?」 いきなり引っ張られて驚く。 だがそんなことよりもっと伝える事がある。 ポケットに手を突っ込み入っている小さな鉄の塊を取り出す。 それを志保に見せた。 「秘策があるんだ」
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