第12章

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「志保行くぞ」 返事をするまえに手を引いて走りだす。 志保はよろけながらも必死についてきている。 20m程先に扉が見える。 恐らくパイロットルームだろう。 はたから見れば普通の機内。 俺からしたら異常な機内を走りぬける。 扉の前で一旦止まり息を軽く整える。 拳銃を手に扉を開ける。 中には誰もいなく、警告を示す赤いランプとアラーム音が響いていた。 「弘樹君、やばいよ…」 「あぁ」 志保の手を離し機長席に座る。 「操縦できるの?」 「伊達に航空学を学んでないよ」 視線を志保から外し高度計に向ける。 機体はひどく傾いていた。 このままでは落ちる。 操縦桿を両手で握り力いっぱい手前に引く。 だがまったく手応えがない。
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