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「志保行くぞ」
返事をするまえに手を引いて走りだす。
志保はよろけながらも必死についてきている。
20m程先に扉が見える。
恐らくパイロットルームだろう。
はたから見れば普通の機内。
俺からしたら異常な機内を走りぬける。
扉の前で一旦止まり息を軽く整える。
拳銃を手に扉を開ける。
中には誰もいなく、警告を示す赤いランプとアラーム音が響いていた。
「弘樹君、やばいよ…」
「あぁ」
志保の手を離し機長席に座る。
「操縦できるの?」
「伊達に航空学を学んでないよ」
視線を志保から外し高度計に向ける。
機体はひどく傾いていた。
このままでは落ちる。
操縦桿を両手で握り力いっぱい手前に引く。
だがまったく手応えがない。
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