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するとだんだんと雲が薄れてきた。
「きた!!前が見えるぞ!」
二人して笑顔になる。
雲を抜ける。
その瞬間に笑顔が無くなる。
目の前に広がる光景。
広く開かれた平地。
だが地面はコンクリートで固められている。
そのよこには建物があり、その辺りには黒い車が何台も止まっている。
それがぎりぎり見えた。
そう空港が。
このまま降下し続けると確実にターミナルに突っ込む。
大惨事は免れない。
なんとかしようといろいろいじってみるが、整備担当志望の俺にはサッパリわからない。
終わりは非常にゆっくりとだが、確実に目の前に迫りつつあった。
「ここまでなのかよ…」
拳を強く握り小さく呟いた。
「弘樹君はよく頑張ったよ」
志保が落ち込む俺の肩にそっと手を置いた。
「そうだな」
俺は今日1番の笑顔で志保の手を握った。
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