第12章

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するとだんだんと雲が薄れてきた。 「きた!!前が見えるぞ!」 二人して笑顔になる。 雲を抜ける。 その瞬間に笑顔が無くなる。 目の前に広がる光景。 広く開かれた平地。 だが地面はコンクリートで固められている。 そのよこには建物があり、その辺りには黒い車が何台も止まっている。 それがぎりぎり見えた。 そう空港が。 このまま降下し続けると確実にターミナルに突っ込む。 大惨事は免れない。 なんとかしようといろいろいじってみるが、整備担当志望の俺にはサッパリわからない。 終わりは非常にゆっくりとだが、確実に目の前に迫りつつあった。 「ここまでなのかよ…」 拳を強く握り小さく呟いた。 「弘樹君はよく頑張ったよ」 志保が落ち込む俺の肩にそっと手を置いた。 「そうだな」 俺は今日1番の笑顔で志保の手を握った。
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