ありふれた超能力

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生まれつき人は平等じゃねえ。わかっちゃいるんだが、嘆かずにはいられない。 そんな事を思いつつ、三河は体操着のポケットに手を突っ込みながら、砂袋を宙に浮かせている。 『……能力解析完了。結果【念動力――レベル2】。以上で三河並人の能力解析を終了いたします。被験者は重りを所定の位置に戻して下さい』 非常に事務的なアナウンスがポケットに入っている携帯端末に挿したイヤホンから聞こえてくる。三河がため息をつくと宙に浮かんでいた砂袋が、グラウンドに描かれた円の中に落ちた。 『次は視力検査です。一号館三階の科学室にて実施いたしま……』 イヤホンから聞こえる事務的な声が途切れ、最近の流行歌の着メロが流れ出す。 ポケットから携帯端末を取り出すとメールが来ていた。 『視力検査終わったら、もう今日は自由解散だから校門前に集合な』 送り主の性格をそのまま転写したような、絵文字だらけのメール。間違いなく送り主は雲坂だろうと三河は確信する。 「……男がハートとか使うなよ」 三河はポケットに携帯端末を突っ込むと、科学室へ向かう歩調を速めた。
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