・第3章 長い夏休み~海辺のカモメ歌~・

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あれから、遊び疲れた僕と琴江ちゃんは2人砂浜に座り込んで海を見ている。 琴江ちゃんは海ではしゃぎ疲れたのか膝を抱え、何かを考えているようだ。 そんな彼女を横目でチラッと見ながら僕はただ目の前に広がる青い海を眺めていた。 考え込んではいるが、水着でいる琴江ちゃんのその姿に愛しさを覚えてしまう。 時間がゆっくりと過ぎていくのを心地よく感じる僕―――。 隣にいる琴江ちゃんは何かを考えて何を感じているんだろうか? 何もわからない。 そんな中、僕はふと昔妹と2人で海に来てこんな感じでいたのを思い出した。 あれから10年ぐらいか……。 あんなことが起きなければ妹は今、琴江ちゃんと同じ歳か……。 (妹が生きていたなら、琴江ちゃんと3人で来たら面白いかもな…) そんなことを考えながら琴江ちゃんをみると――― 「「あ……」」 琴江ちゃんと目が合った。 一瞬だけ時間が止まった気がする。
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