・第3章 長い夏休み~海辺のカモメ歌~・

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「……先輩?」 「あ、うん。…由亜がさ、荷物番を交代してくれたから適当にぶらぶらしてたら…琴江ちゃんが1人で浮いているのを見かけたんだ」 「そうなんですか…」 「うん…。それよりさ、琴江ちゃん?」 「何ですか?」 「……ぼ、僕と遊ばない?」 と、声が裏返って緊張しているように先輩は私に聞いてきた。 そんな先輩の姿が私には可愛く見える。 もちろん私の答えは決まっている。 「いいよ…先輩?」 先輩の手を掴み、私はニコッと微笑みながら言った。 「こ、琴江ちゃん?」 私は先輩のことをあまり知らない。 だから今からゆっくり知っていくんだ。 「先輩、何をします?」 そんな光景を遠くから1人に見られているとは、まだ私…ううん、私と先輩は知らなかった。
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