エピローグ

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「じゅんこ!」 男の人が叫んだ。 私は思わず振り返った。 振り向くと――おおかた走り出してしまったのであろう――父親と思われる男性が小さな女の子をおいかけていた。 父親が女の子に追いつき抱き上げると、そのまま肩車をし女の子は喜んで笑っていた。 その光景に純子は微笑んだがすぐにその笑みは悲しげな表情へと変わった。 あの人が呼んでくれた名前……。 もう一度あの人の声で呼んで欲しい。 だけど、呼んでくれるあの人はもういない……。
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