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『…ん~?いや、なんかね、スカル買ってった女の子とSAYさん、似てるなって…』
『…なにが』
『イントネーション?案外地元一緒だったりして。』
『北出身ならたいてい似たような訛りだよ』
『…そうかなぁ…だいぶ近いと思うよ。あぁ、でも…だから凄い親近感湧いたんだろうな、俺』
『……』
『俺、SAYさんのイントネーション好きだもん。そのイントネーションで小柄で可愛い女の子が喋ってたからさ、めっちゃ可愛かったんだよね~。つい、無駄に丁寧に道案内しちゃったし』
『……小柄……』
先程すれ違った彼女そっくりの女の子を思い出した。
『名前くらい聞いておけばよかったね。
案外知り合いだったかもよ』
『知り合いは皆地元だからこっちに居るわけねーよ』
『…ふ~ん…?』
ナリは俺をじっと見てから『まぁ、いいや』と言って呼び込みに戻っていった。
……ダメだな、俺。
ナリから聞いた話と先程すれ違った子の条件が合致しすぎて…気持ちが落ち着かない。
地元出身の小柄な人なんて絶対彼女以外にも居るし、他人の空似だってある。
なのに期待しかけてる…
やっぱまだ好きなんだなと思いしらされた、午後の出来事。
幸せの後先 金子清十郎編 完
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