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薫はここ最近、夏風の様な元気が無い。
近所の遊び仲間もつまらなく感じていた。
今日なんてほとんど無口なのだ。
「そういえば、ずっと空き家だった丘の屋敷に誰か居るみたいだって噂、知ってる?」
薫の幼なじみの少女『日和(ひより)』が言う。
彼女は少し痩せ気味で、ボーイッシュな髪型だ。
性格は、名前の由来である「小春日和」とは違い、穏やかさが足りない。
少しキツい所もあるが、明るくサバサバとしている。
「幽霊が出たんだって聞いたよぉ?」
同じく、幼なじみの少年『空』が言う。彼は少し太り気味だ。
晴れ渡る大空の様に、おおらかでのんびりとしている。
「ち…違うよ!」
急に声を荒げた薫を二人は見つめる。
「違うんだ。女の子が居るんだ…居る筈なんだ…」
薫は俯いた。
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